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レンズや反射鏡には像を作ると言う特性−結像作用−がある。
この結像作用は、他の如何なる部品、装置(電気的、機械的を問わず)でも代用出来ない極めて特異な特性で、その特性を応用した機械、例えば非常に古い歴史をもつ望遠鏡、顕微鏡、カメラに代表される機器は光学機器と呼ばれた。
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さらにレ−ザ−の発明以来CD,DVD等の新光学機器が登場し、これ等新旧の光応用製品を光機器と総称するようになった。
光機器のレンズ系はそれぞれ特有の特性を持つが、共通する光学的な基本が重要で、特に大切な焦点距離と主点に話題を絞りそのポイントを述べて見たい。詳細は専門の光学書を参考にされたい。 |
| 1. 物体と像 |
| ■ 標準的な辞書の一つ広辞苑を見ると、像とは(1)物の形等の意、(2)「物体から出た光が光学系によって、屈折または反射した後、再び集合して生じた形象。実際にスクリ−ン上に映し得る実像と眼に見えるだけの虚像の二種類がある」、その他とある。前者(1)と区別するには、(2)を光学像と言うが、以下は簡単に像とする。 |
点状の物体を物点と呼び、その像を像点と呼ぶ。ある物体上の全て物点から発した光が、光学系で結像され、対応する像点の集合として像を結ぶと考える。物体そのままの形の像を正立像、上下左右が反転した像を倒立像と言う。 |
| 2. 光波と光線 |
| ■ 上述の光として、光波(電磁波)または光線を考える。前者が波動光学、後者が幾何光学の立場である。光は本来光波ではあるが、光学像の仕組みをを光波のみで解析するのは極めて困難であり、 |
光を先ず光線として幾何光学により結像を考え、必要に応じ光波として波動光学により精密に考察することが多い。 |
| 3. 光学系とレンズ |
| ■ 光学系とは、レンズやレンズの組み合わせ、さらに反射鏡とレンズの組み合わせを含めたものの総称で、一枚レンズ(単レンズ)から数十枚のレンズ系まで極めて多種多様である。2枚以上のレンズ系を複合レンズとも言う。単レンズは透明な物質例えばガラスやプラスチック等で作られた二つの滑らかな面を持つ物体であり、これらの面は通常球面または平面であるが、最近は楕円面などの非球面も用いられる。 |
レンズの中心軸(二つの球面中心を通る直線)を光軸と言う。通常、光学系は全てのレンズの光軸が一本になり、一直線状に並んでいると考える。光軸は光学系の基本軸となる。なお厚さの小さいレンズを薄肉レンズと呼ぶ。 |
| 4. 理想レンズと? |
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■ レンズで結ばれる像にはシャ−プな像、ぼけた像、コントラストの良い像等々があり、良いレンズ悪いレンズの評価がある。それでは理想的に良い像を結ぶ光学系−理想レンズ−とはどのような光学系であろうか?幾何光学では理想レンズは以下のような結像をすると教える。
●物点から発した光線は完全に一点に集まり像点を作る。
●物体が直線の場合、その像も直線となる。
●物体が平面の場合、その像も平面となる(物平面像平面)。
●光軸に垂直な平面上の物体とその像は相似形である。
相似の比率を倍率と言う。
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完全な理想レンズは実在しない。しかし物体、像、光学系の直径が共に非常に小さい場合、つまり光軸に近い領域(近軸領域)に光線(近軸光線)が存在する場合には、理想的な結像(近軸像)と見なして良い。実際の光学系では光線は近軸領域より大きな領域に在り、像が一点に集まらない、相似形とならない等、理想像からのずれが生ずる。このずれを収差−光線収差−と呼ぶ。収差の大小によりレンズ性能、良否が大きく左右されることになり、レンズ設計者はこの収差の除去に腐心することになる。
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| 5. 物体と像の関係−薄肉レンズの場合 |
6. 薄肉レンズの焦点距離 |
| ■ レンズが理想的に結像される場合、物体と像の関係には、有名な結像公式(高校の物理の教科書にも記載あり)がある。これを言葉で表現要約するば以下の様になる。
●物体距離の逆数と像距離の逆数の和は
焦点距離の逆数である。
●像と物体の大きさの比率を示す倍率は、像距離と
物体距離の比で与えられる。
物体距離とは、図1(a)のように、レンズから
物体までの距離、像距離はレンズから像までの
距離である。上の関係から、物、像の関係は
焦点距離のみによって決められる。
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■ 光軸の方向にある物体がレンズから非常に遠くになると、物体からの光線は光軸に平行にレンズに入射する。この光線は図1(b)の様に屈折され光軸上の像点に集まる。この点を焦点(像焦点)と言い記号F’で表わす。レンズから像焦点F’までの距離は焦点距離に等しい。像焦点における像の大きさは零に近い。太陽の光を虫眼鏡のような凸レンズで木片の上に集めると、焦点に強烈な明るさの小さな像ができる。レンズから木片までの距離をスケ−ルで計れば焦点距離の概算値が得られる。
また物体がレンズから物体距離の点にあれば、光線はレンズで屈折され像は非常に遠くに生ずる。つまり図1(b)に示すように、レンズの前方で焦点距離の点から発した光線は、屈折され光軸に平行な光線となる。この点も焦点(物焦点)と言い記号Fで表わす。この場合の倍率はほぼ無限大で、像の大きさは極めて大きい。虫眼鏡を、目から遠く離し、新聞紙に近ずけて見る。紙面を虫眼鏡から遠ざけてゆくと像は拡大されてゆき、ある距離になると字が大きくなり過ぎて判別し難いようになる。この時、紙面が物焦点にあり、紙面とレンズとの距離は焦点距離にほぼ一致する。
以上を要約すると、レンズには物焦点、像焦点の二つの焦点があり、レンズからの距離はともに焦点距離となる。記号はそれぞれF,F’で表わす。
なお薄肉レンズには、周知のように、凸レンズと凹レンズがある。凸レンズは光を集める集光作用を持ち、凹レンズは光を広げる発散作用がある。前者の焦点距離を正(プラス)、後者の焦点距離を負(マイナス)とする。凹レンズの像焦点は図2のようにレンズの前方にあり、光線は像焦点から広がる如く発散する。凸レンズのように木片等に焦点の実像を結ばせることが出来ず、虚の焦点と呼ぶ。凹レンズの焦点距離は、図2のように、屈折光線の広がりの直径がレンズの直径の2倍となる距離で知ることが出来る。 |

●図1-a●

●図1-b●

●図2● 凹レンズの焦点距離の求め方 |
| 7. 薄肉レンズの主点 |
| ■ 薄肉レンズでは物体面がレンズ面に密着すると、像面もレンズに密着し、倍率が1倍の正立像となる。このように倍率が1倍で正立像となるような物、像点を主点と言い、区別する場合は物主点、像主点と呼ぶ。 |
薄肉レンズの両主点は同一点となりレンズの中心にある。新聞紙の上に虫眼鏡を密着して置くと字の大きさが変わらず、レンズで屈折されないように見えるのは、紙面が物主点に近いからと解釈される。 |
| 8. 複合レンズ系の主点 |
| ■ 薄肉レンズでは主点は同一点でレンズの中心点にあるが、厚いレンズや複合レンズ系では、物、像主点は異なる2点となり、その位置はレンズの構成等により千差万別である。 |
主点が重要なのは、一般光学系の結像の基準点となるからである。なお、主点の定義は「倍率が+1倍となるような、物点と像点」であるが、実際の光学計算では、この定義に忠実に求めているわけではない。焦点位置と焦点距離を計算し、これ等から主点の位置を逆算するのである(以下の項参照)。 |
| 9. 複合レンズ系の焦点距離 |
■ 薄肉レンズと同様に、複合レンズ系も二つの焦点−物焦点、像焦点−を持つ。問題は複合レンズ系の焦点距離である。その定義の詳細や計算法は割愛するが、光軸に平行な光線をレンズ系に入射させ近軸光線追跡の手法を用い、 焦点距離、 レンズ系の最後面から像焦点までの距離(バックフォ−カス、fB)、レンズ系の最前面から物焦点までの距離(フロントフォ−カス、fF)が求められる(図3参照)。
さらに主点から焦点までの距離が焦点距離であることが近軸像の光学理論(ガウス光学)から導かれる。ガウス光学は1840年にガウスにより確立された。ここでは像主点 像焦点の距離を像(側)焦点距離、物焦点 物主点の距離を物(側)焦点距離と考える。空気中のレンズ系では、両者は符号も含めて等しい値となり、記号fで表わす(図3)。
なお焦点距離の符号は光の進行方向に正、逆方向に負とする。凸レンズの如き焦点距離が正のレンズ系を収束レンズ系、凹レンズの如き負のレンズ系を発散レンズ系と言う(なお焦点距離については光学書により定義や表示等が場合がある)。
焦点距離はレンズ系の構成により大きく変化し、例えば凸レンズ2枚のレンズ系では、レンズを密着させた状態(焦点距離は正)から、レンズ間隔を広げてゆくと焦点距離が長くなってゆき、やがて無限大となる(これがケプラ−型望遠鏡の原型で、一般的に望遠鏡系、アフォ−カル系と言う)。 |
さらに広げると焦点距離が負(発散レンズ系)となり、その絶対値は間隔の増加とともに小さくなってゆく。この典型的な例は顕微鏡で、例えば100倍の対物レンズ(f=1.8ミリ)と10倍の接眼レンズ(f=25ミリ)の間隔約180ミリにした1000倍の顕微鏡の全系の焦点距離は僅か−0.25ミリである! |

●図3● |
| 10. 複合レンズ系の主点 |
■ 光学系の焦点距離、二つの焦点、二つの主点はその像の状態を決めるのに重要な役目を持ち、焦点、主点は光学系の主要点と呼ぶ。他に物節点と像節点と言う主要点もあるが説明は略す。空気中のレンズ系では、節点と主点は同じ点となる。
以上の主要点は光学系の構成により千差万別である。例えばカメラの標準レンズでは両主点は概ねレンズ系の内部にあるが、一眼レフの広角レンズでは、レンズの後ろに反射鏡を挿入する為に、レンズ後面から像焦点までの距離−バックフォ−カス(fB)−を大きくする必要があり、像主点をレンズの後方に大きく出す。図4(a)はこの様なレンズ系の原型で、凹レンズと凸レンズとの間隔を広げた構成でレトロフォ−カス型と呼ぶ。この原型を基に、多くのレンズを用い収差補正した広角レンズの一例を図4(b)に示す。
なお液晶プロジェクタ−の投影レンズで、液晶とレンズとの間に3色分解プリズムを挿入する場合は、レトロフォ−カス型の採用が必要となる。上記とは逆に像主点をレンズの前方に出すレンズ系(逆レトロ)は望遠タイプと呼ばれ、全長の短い望遠レンズに採用されている。なおズ−ムレンズは主点が大きく移動するレンズ系と解釈出来よう。
焦点、焦点距離、主点はレンズ系の基本特性を決める重要なファクタ−で、レンズ構成の選択や、新規のレンズタイプをの創成にはこれ等の主要値をよく理解することが大切と言われている。 |

●図4-a● レトロフォーカス |

●図4-b● レトロフォーカスの実例(f=24mm F=2.8) |
参考
1)松居吉哉:レンズ設計法(共立出版、1972)
2)早水良定:光機器の光学 (日本オプトメカトロニクス協会、1989) |
●ガラスレンズとプラスチックレンズ ●金型の離型性と部品設計 ●非球面レンズと球面レンズ
●レンズの特性-焦点距離と主点 ●カメラの光学ファインダー「基礎編」 ●カメラの光学ファインダー「応用編」 |