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●カメラの光学ファインダー「基礎編」
1. 逆ガリレオ型ファインダ− | 2. ファインダ−の視野率と視差 | 3. ケプラ−型ファインダ−実像ファインダ−
4. ズ−ムファインダ−

【 応 用 編 】〜ファインダ−の幾つかの具体例〜

光学ファインダ−応用編は、基礎編を受け、幾つかの実例とファインダ−特有の用語を解説する。
基礎編の用語もしばしば引用するので、合わせて閲読されたい。
現在のスチ−ルカメラには、使い捨てカメラ、コンパクトカメラ、一眼レフ、デジタルカメラ等多種あり
それ等に適合したファインダ−も種々工夫されている。
スペースの都合上、そのうちの基本的なものに話題を絞る。

1. 逆ガリレオ型ファインダ−
■ ライカ(1925年)以来古くから使われているファインダ−で、ガリレオ型望遠鏡を逆にし、対物が凹、接眼が凸で(図1)、像は正立する。倍率は一倍以下で、対物の焦点距離が接眼のそれより小さい。実視界は、以下の理由により、撮影レンズの画角より少し小さく、ファインダ−で見える被写体よりやや広く撮影される。
 逆ガリレオ型ファインダー(以下ガリレオ型)は視野絞りが無く、対物(凹レンズ)の前枠がその役割をする。ファインダ−を覗くと枠が少しぼけて見え、視界が明確に決まらず、眼が動くと視界が変わる。従ってファインダ−で見える範囲を確実に撮影する為には、設計上の視野率(後述)を100%より小さくせざるを得ないのである。
 ガリレオ型の視界の不明確を改良したのが光枠(ブライトフレ−ム)ファインダ−である。これは、撮影範囲を示す細い光の枠が、視野(視界)に浮いて見えるファインダ−で、視界は明確に決まり眼を動かしても変わらない。その一つアルバダファインダ−は図2のように、対物レンズを2枚の凹レンズで構成し、2枚目の凹面の周辺部を反射面とし、接眼レンズの前面に小さく細くアルミ等をコ−トした反射枠を設ける。外界からの光が反射枠と凹の周辺部で反射した後、接眼で屈折して眼に入り、光枠が視野に浮いてみえる。他にマ−クファインダ−等があり、光枠型はかつては盛んに使われていた。
●図1●
●図1● 逆ガリレオ型ファインダーの光学系
●図2●
●図2● アルバダファインダー
2. ファインダ−の視野率と視差
【1】視野率
ファインダ−で見える被写体の範囲とフイルム等の撮影範囲との比を視野率と言い、実視界と撮影レンズの画角の(正切)の比で求められ、%で表す(縦92、横94%の如く)。視野率をあまり小さくすると、撮影範囲は確実だがファインダ−で見えなかった余計なものが撮影される。要注意である。一眼レフでは100%近く、逆ガリレオ型では90%内外である。
【2】視差(パララックス)
通常、一眼レフを除き、全てのファインダ−はカメラの上部に設けられ、被写体をやや下向きに見ることになる。撮影レンズとファインダ−の光軸の不一致による視線の差を視差(パララックス)と言う。視差があるとファインダ−視界と撮影画面がずれ、視野率100%としても、ファインダ−で見た通りには撮影出来ない。被写体距離が小さいほど視差は大きい。視差の為、逆ガリレオ型の視野率をさらに小さくせざるを得ない。
3. ケプラ−型ファインダ−実像ファインダ−
前述の正立ケプラ−型望遠鏡を用いたファインダ−では
対物の焦点に被写体の実像が生ずるので、実像ファインダ−とも呼ぶ。
基礎編で述べたようにポロ型とダハ型があり
各々長、短所を知悉して選ぶことが大切であろう(基礎編4:正立プリズム型参照)。
有名な一眼レフファインダ−と2、3の例について述べる
【1】ダハ型の一眼レフのファインダ−(ライカ判)
 1947年、東ドイツのツアイス・イコン社(当時)が世界初のペンタダハプリズムを持つ一眼レフ、コンタクスSを発売、55年に旭光学が世界初のクィックリタ−ンミラ−方式の一眼レフ、アサヒペンタックス Bを開発した。現在のライカ判一眼レフのファインダ−は全てこのダハ型である。  

 一眼レフのファインダ−の断面の模式図を図3に示す。被写体からの光は撮影レンズを通り可動ミラ−で90度上に曲がり、ピントガラス上に像を結ぶ。この像をペンタダハプリズムを介し、接眼レンズで拡大すると、被写体の正立像が見られる。像は被写体方向にあり、ファインダ−から眼を外すとすぐに被写体が見られ、いわゆる直視型ファインダ−となる。勿論、撮影時にはミラ−が邪魔で上に移す必要があり、上記のコンタクスSでは手動でミラ−を上下した。クィックリタ−ンミラ−方式は、撮影におけるミラ−の上下を自動的かつ瞬間的に行ない、一瞬像が消える(この間にシャッタ−作動)のみで撮影が完了する(詳細略)。この優れた方式により、一眼レフは極めて使い易くなつた。

 ペンタダハプリズム(略してペンタプリズムとも言う)は図3の如く、断面が5角(ペンタ)のプリズムの上部の辺を屋根(ダハ)面としたプリズムで、それ自体は鏡像(左右反転)を作るが、クィックリタ−ンミラ−と共に正立プリズムを形成する(反射が二面)。一眼レフでは、撮影レンズがファインダ−の対物レンズの役目をする。

 ファインダ−倍率は撮影レンズと接眼の焦点距離の比で与えられ、例えば、前者が50、後者が67ミリであれば、約0.75倍となり、35〜300のズ−ムレンズを付ければ、約0.5〜4.5倍のズ−ムファインダ−となる。
 ファインダ−の対物レンズが撮影レンズそのものであり、視差(パララックス)は全く無い。よって、ピント面に置く視野マスク(視野絞り)を、フィルムの画面マスクと同一寸法に出来れば、視野率を100%に出来るはずで、ニコンの一眼レフの99%を最高として、97%台以上の視野率の競ったこともある(最近はもっと小さいものもある)。一眼レフの視野率は取り扱い説明書に記されている場合が多い。なお一眼レフのファインダ−はTTL(Through The Lens、撮影レンズを通して見る)型と呼び、他のファインダ−を非TTL型と呼ぶことがある。
 図のピントガラスに密着したフレネルレンズは、多くの輪帯レンズによりなる厚さの薄い凸レンズであり、これに近接したコンデンサ−(凸レンズ)と共に、フィ−ルドレンズ(視野レンズ)(基礎編のケプラ−型、図2-c参照)の機能を持ち、これらが無いとファインダ−の周縁の像は非常に暗くなる。ピントガラス面(マット面)の疎密の構造はファインダ−の明るさとピントの良否に影響する。ピント合わせの良さを含め、いろいろ研究され、特殊な構造を持つトミノルタの一眼レフのアキュ−トマットが有名である。
●図3●
●図3●

【2】ポロ型の一眼レフのファインダ−(ハ−フ判)
 ハ−フ判とはライカ判フイルムを用い、ライカサイズ(縦24ミリ横36ミリ)を半裁(縦24モリ横18ミリ)したもので、このサイズを用いたカメラは小型軽量かつ2倍の枚数の撮影ができで、かって広く愛用された。オリンパスぺンがその代表例であるが、その頂点に立つのがハ−フ判一眼レフ、ペンFである。ペンFはチタンのロ−タリ−フォ−カルプレ−ンと言う特異なシャッタ−を持つが、このシャッタ−の納まるスペ−スにうまくマッチしたポロ型の正立系が開発された。この一眼レフのクィックリタ−ンミラ−は、上ではなく、横に動くが、このミラ−を第一反射とし、図4のように、プリズム(第二反射)、ミラ−(第三反射)、プリズム(第四反射)をポロ型に配置し、接眼レンズ(ル−ペ)は倍率を稼ぐ為、第三ミラ−と第四プリズムの間に設ける。これ様な特異な構成により、ペンFは、従来のペンタダハプリズムの一眼レフにはない優美なデザインのカメラとして評判になった。ポロ型プリズムをうまく使いこなした好例であろう。
●図4●
●図4● ハーフ判用ポロプリズム・ファインダー
4. ズ−ムファインダ−
■ 近年のカメラの多くはズ−ムレンズ付きで、当然ファインダ−もズ−ムの必要がある。ファインダ−をズ−ムにするには、対物をズ−ムレンズにする。接眼をズ−ムレンズとしても、視界が変化するのみで、実視界は変わらずズ−ムファインダ−にならない。なおズ−ムファインダ−はカメラの上部に置かれパララックスがあるので、視野率は100%には出来ない。ファインダ−のズ−ム比は、当然、撮影レンズと同じにし、実視界も撮影レンズの画角に対応させねばならない。

【1】ズ−ム逆ガリレオ型ファインダ−
 逆ガリレオ型ファインダ−の対物を図5の如く、凸凹の2枚型のズ−ムレンズとする。ズ−ム比が2〜3程度と小さければ、第二の凹レンズのみを光軸方向に移動すれば変倍(ズ−ミング)でき、メカが簡単になる。ただし視度は多少変化する。
 アルバダファインダ−(図2)も、第一の凹レンズを上述の如きズ−ムレンズとし、第二の反射面付き凹レンズを工夫すれば、アルバダ式ズ−ムファインダ−となるはずである(詳細不明)。コンパクトカメラのズムファインダ−として使われた。

【2】ダハ型の実像ズ−ムファインダ−
 ダハ型は複雑で、ダハ面は、プリズム、ミラ−を問わず、高い精度が要求され、コスト高とされた。しかし近年ガラスやプラスチックの精密加工、精密測定等の諸技術の向上により、比較的安価に生産され、コッンパクトカメラにも用いられる様になつた。
 図6に示すケプラ−型ズ−ムファインダ−(実像ファインダ−)は、ダハミラ−と本来のペンタプリズム(反射が2面で、ダハ面を持たない)を採用し、対物レンズは凹、凸二枚構成のいわゆる標準ズ−ムで、非球面を用い収差補正をする。接眼も非球面レンズである。ペンタプリズムの一面を凸面としフィ−ルドレンズの役目をさせる。視野絞りをここに置く。 

【3】ポロ型の実像ズ−ムファインダ
 対物をズ−ムレンズとし、ポロ型の正立系を持つファインダ−である。図7に一例を示すが、ポロミラ−と、斜面の半分の凸面を設けた特異なポロプリズムを用いる。この凸面は視野絞りに近接しフィ−ルドレンズの役割をする。対物は2枚構成の凹レンズ系と3枚構成の凸レンズ系よりなる2群ズ−ムレンズである。

 ダハ型とポロ型の何れにするかは、それぞれの長所短所を知悉し、適用カメラ(コンパクトカメラかデジカメか等)、メカとの関連、デザイン、コスト等に適合した選択が必要であろう。
 さらに広げると焦点距離が負(発散レンズ系)となり、その絶対値は間隔の増加とともに小さくなってゆく。この典型的な例は顕微鏡で、例えば100倍の対物レンズ(f=1.8ミリ)と10倍の接眼レンズ(f=25ミリ)の間隔約180ミリにした1000倍の顕微鏡の全系の焦点距離は僅か−0.25ミリである!
●図5●
●図5●

●図6●
●図6● ケプラ−型ズ−ムファインダ−

●図7●
●図7● Non-TTLファインダー光学系の例
ガラスレンズとプラスチックレンズ ●金型の離型性と部品設計 ●非球面レンズと球面レンズ 
レンズの特性-焦点距離と主点 ●カメラの光学ファインダー「基礎編」 ●カメラの光学ファインダー「応用編」

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