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●ガラスレンズとプラスチックレンズ ガラスレンズ | プラスチックレンズ | ハイブリッド(複合型)レンズ

レンズの名は両凸レンズに似た豆のラテン名に由来するとされる。
レンズの歴史は古く、紀元前1400年頃にガラスがレンズとじて使用されたと言われているが
先人達の長い努力工夫の過程を経て現在の極めて多様多彩な発展を遂げるまでになった。
レンズの形態は様々であるが、その素材は古来よりガラスが主であつた。
しかし、20世紀の後半頃から一部にプラスチックが使われはじめ、
さらにガラス、プラスチック混用のハイブリッド(混合型)レンズも実用されるようになる。

ガラスレンズ
■ ガラスは紀元前2400年にエジプトで作られたと言われるが、装飾用であったらしい。光学技術史の年表には、1020年アルハ−ゼンがレンズの屈折と拡大について発表、1590年ヤンセンが望遠鏡の雛形を作る等々の興味深い記述があり、レンズの各方面の応用が次第に盛んになって行く様がうかがえる。
 しかし、望遠鏡や顕微鏡のような高度の光学機械には精密なレンズが必要となり、その素材であるガラス−光学ガラス−にも当然良い品質が要求されることになる。
良質な光学ガラスとは、無色透明、光学的に均質等方で脈理(ガラス中の層状または線状の不均質部分)等の欠陥がほとんど無く、泡や異物が非常に少ないガラスで、製造がかなり困難とされていた。しかし1790年にギナンなる人物が坩堝法と言う画期的製法を開発、大口径の精密なレンズも出来るようになる。坩堝法は、20世紀後半の連続熔解技術の出現まで、長らく光学ガラス製造のキ−テクノロジ−となった。
 レンズで結ばれる像の良否は、収差と呼ばれるレンズの欠陥により決定的に支配されるが、色収差を含めた諸収差を小さくしたレンズを設計するには、2枚以上の、光学特性(屈折率や分散)が異なるガラスを素材とするレンズの組み合わせが必要となる。分散とは波長による屈折率の変化で、例えば色収差の補正には分散の小さいクラウンガラスと大きいフリントガラスの最低2枚のレンズが必須である。
 この様な設計(特にカメラレンズ設計)の要請に対応したガラスの製作が行なわれ、特に1890年頃当時の新種ガラスがショットにより開発されたのを皮切りに次々と新しい硝種(硝子の種類)が誕生し、長い年月を経て今日のような極めて多種の光学ガラスが作られることになる。現在光学メ−カ−のカタログでは優に200種を越え、常時在庫し良く使われる硝種はかなり少ないが、それでも数十種はある。
 ただ、レ−ザ−光のような単色光(同一波長の光)を用いるレンズでは色収差への配慮は不要で、ガラスは一種類でも良い。
 ガラスレンズは本質的に硬い、傷つきにくい、温度、湿度等の環境変化に極めて安定等の優れた特質を持つ。反面、その球面加工はかなり煩雑な工程が必要で、その概略はガラスブロックの切断から始まり、皿加工と言われる技法により次第に所望の粗面に仕上げる第一ステップと、粗面を光沢のある精密球面に研磨する第二ステップとからなる。これ等の工法は13世紀イタリアで始まるとされ、現代に至るまで基本的に変わらず続いてきた。ただ20世紀に入り大量生産の要請から、ダイヤモンド工具等を用いた革新的な工程、精密プレス加工の進歩等々による技術革新により第一ステップは大幅に圧縮改善されている。第二の研磨ステップは、細部の改善は当然あるが、基本的に大きな変わりは無い。
 非球面レンズは20世紀初め頃から加工法が摸索され、特殊な非球面加工機等も研究使用されたが、精度、価格等の点から大量な生産には不適であった。
 しかし1982年にコダックがガラスモ−ルド非球面レンズを一枚内蔵したカメラレンズの量産化に成功、以後実用開発が推進され、光ディスクレンズやカメラズ−ムレンズ等に使用され始めた。近年のガラス非球面レンズの加工は基本的にはモ−ルド法で、高温で軟化したガラス塊(コブと呼ばれる)を精密な二つの金型のなかに入れ加圧成形し、徐冷、アンニ−リングの工程を経て作る。球面レンズの加工よりはるかに工程数が少なく簡単の様ではあるが、ガラスの軟化点は数百度で、金型材等の課題を含め超精密プレスは高い技術の集積が要請されると言われる。また大径(約40ミリ以上)のレンズが困難等の問題もあるが、多種の光学ガラスが使え、レンズ設計上の制約が少ない点等の利点が大きい。
レンズを組み合わせた例(カメラレンズ)
●レンズを組み合わせた例(カメラレンズ)
プラスチックレンズ
■ 前述のように、古来からレンズの材料はガラスであった。しかし1920年頃からプラスチックがガラスの代用品として注目され、1930年頃メチルメタクリレ−ト(MMA)が開発され、耐候性が良く機械的強度もかなり強く、有機ガラスと呼ばれ利用された。その後、第二次世界大戦中に光学ガラスの不足に対応しプラスチックの研究が行なわれ、耐熱性、硬さが改良されたCR39(現在は眼鏡レンズ等の材料)が生まれたと言われる。さらに20世紀後半からは、プラスチックのレンズへの応用が各分野で益々盛んになり、材料の改良進歩も進められることになる。
 光学プラスチックとしては、無色透明、光学的に均質等方であり、異物が極めて少ない等々の光学ガラスと同様な特性が当然要求される。
 プラスチックはガラスにくらべ、比重が小(略1:3〜8)で軽量、成形加工が容易、耐衝撃性が高い、耐腐蝕性が大等の特徴があるが、反面、硬度が小さく(鉛筆硬度で略2〜4H:9H)傷つき易い、耐熱性が弱い、吸水率が大きい、線膨張係数が大(略10:1)等の有機材料特有の短所を持つ。さらに光学設計の観点から、光学プラスチックの屈折率(略1.5〜1.6)は光学ガラス(1.44〜1.9)に比較して低く、かつ複屈折が生じ易い材料があり、利用出来る種類が光学ガラスの数十種に比し極めて少ないという課題がある。また屈折率と形状が温度により変化し、焦点距離が温度により左右され易い。
 上記のように、やや不安定等の短所の多い材料ではあるが、成形加工のコストが安い、異形のレンズ・プリズム・ミラ−等も比較的容易に成形できる、軽量である等のメリットを活かし、種々の光学系に利用される。例えば、軽くて破壊飛散する危険が少ない利点から眼鏡レンズとしての利用度が高く、コストの安い非球面レンズとして、光ディスク(CD等)の集光系への応用が有名である。カメラのファインダ−のレンズ、プリズム等にも既に多用されつつある。また、カメラレンズでは色収差補正の為、種類の多い光学ガラスが必須で、例えば球面レンズをガラス、非球面レンズをプラスチックとする構成のズ−ムレンズ等が考案され、実用されている。なお、吸水性、複屈折性等を改良した新素材の開発も進められ、将来が期待される。プラスチックレンズの成形加工は基本的にはモ−ルド法によるが、素材の違い(熱可塑性か熱硬化性か)により射出重合法、注型重合法等が適用される。
 成形に必要な母型(金型)は精密なNC(数値制御)旋盤等で加工されるが、例えば光ディスク(CD等)の非球面レンズではサブミクロンの精度が要求され、金型にも0.1ミクロン相当の加工および測定精度が必要となる。なお、眼鏡レンズ等で成形後さらに研磨されるケ−スもあるが、カメラや光機器等のプラスチックレンズでは研磨しないのが一般的と言われる。
ハイブリッド(複合型)レンズ
■ 上述のように、ガラスの非球面レンズには安定で適用硝種が豊富と言う利点はあるが、高温のガラス素材のモ−ルド精密加工と言う課題があり、プラスチック非球面レンズには成形容易と言うメリットがあるが、やや不安定で適用素材が限定される課題がある。そこで、これ等の特徴を相互補完したハイブリッド(複合型)レンズが開発された。
 加工技術が古くから伝承されている球面ガラスに、成形容易なプラスチックを非球面状に薄く密着させた構造のレンズである。ガラス非球面としてレンズ設計を行ない加工時に上述の処理を行なえば良く、硝種の選択の自由度が大きく、非球面の機能を持つプラスチック層の厚さも小さいので(約200ミクロン以内)温度湿度等の影響が少ない利点がある(6)
(6) ハイブリッドレンズの成形加工は感光性樹脂を用いる光重合法で、加工時間は数十秒と短いと言われる。一般にハイブリッド製品では接合面における線膨張係数差による応力が耐久性のネックになるが、弾性率の小さい柔軟な層をはさむ二層構造にすれば解決するとされる。
以上述べたように、レンズにはガラスレンズ、プラスチックレンズ、ハイブリッドレンズの三種があり
各々長所と短所を合わせ持つ。
レンズの使用に際しこれ等の特色を知悉し、使用目的に適したレンズを採択し、活用するのが大切と思われる。
●ガラスレンズとプラスチックレンズ ●金型の離型性と部品設計 ●非球面レンズと球面レンズ 
レンズの特性-焦点距離と主点 ●カメラの光学ファインダー「基礎編」 ●カメラの光学ファインダー「応用編」

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